時は流れ、四月に入社してから二ヶ月が過ぎていた。

季節は六月になり梅雨真っ最中……。

毎日うっとうしい雨に悩まされていた。

はぁ……。

俺は大きな溜め息をついた。

「何だ、何だ?どうした大きな溜め息をついて?」

声をかけてきたのは一つ上の先輩で山口涼(やまぐちりょう)だった。

屈託のない笑顔で営業成績はトップクラス。

うらやましい……。

逆に俺の営業成績はかなり悪い。


毎日この仕事は向いていないのではないかと悩む日々。

「俺、この仕事向いていないと思うんですよね……」

「何言ってんだよ、まだ二ヶ月しか働いてないじゃないか、そういうのはもっとやってから言えよ」

「俺やりがいが見出せないんですよ。この部所の人達って、みんなやる気に満ちていて何か……俺ついて行けないんです……」

そう……。

この部所(企画営業部)は、みんながみんな、とてもキラキラしていて、やりがいに満ちあふれている。

俺は余りにもキラキラした世界に、入社した日はかなりドン引いたが、他の部所の人達からなぜか、とてもうらやましがられた。

それがなぜなのかは未だに分からない。

自分の今の気持ちを涼に話していると、オフィスの入り口から沢山の資料を持った地味な女性が姿を現した。