それから一ヶ月後

テナントの屋上にある庭園にて試作発表会が開かれていた。季節はもうすぐ秋に近づこうとしている。しかし本日は青空の広がる快晴、時々吹く残暑の熱い風が庭園を通り抜けていく。

玲奈達はテナントにある屋上庭園の一部を借り、試作品を並べていった。

本物の花と加湿器の花のコラボ。

うん。

最高に可愛い。


翔真は嬉しそうにセッティングをする玲奈を見つめていると、何やら首を傾げているのが目に入る。

どうしたのかと、玲奈の視線の先に目を向ける。そこには一枚のパンフレットが……。

「日野くん、もしかしてこれ追加してくれたの?」

「あっ、言うの忘れていてすいません。心配は無いとは思ったんですけど……」

「いいのよ。私も少し心配していたの。ありがとう」


時刻は十時、テナントの開店時間となり、開店を知らせる音楽とアナウンスがテナント全体に響き渡った。

「今日は忙しくなるわよ。頑張りましょう」

「「「はい!!」」」








緑の溢れる屋上庭園に少しずつ人が集まり出していた。加湿器の噂を聞きつけ、わざわざ来てくれた人、たまたま散歩に来て、のぞきに来てくれた人など様々な人達で賑やかになっていった。

屋上庭園は加湿器を見に来てくれたお客様の笑顔で溢れ出す。


「わーー。可愛い!!こんな加湿器がほしかったの」

「これってすぐに買えるんですか?」

玲奈がぺこりと頭を下げる。

「申し訳ございません。こちらの商品は試作品のため、お売りすることは出来ませんが、予約販売出来ますがどうなさいますか?」

「じゃあ予約していくわ」

「ありがとうございます」

花形の加湿器は女性達から支持を得ていた。