少年が寝静まった深夜。勉強机に置いていた懐中時計から突然、カチッと音が鳴った。長針と短針が重なった音だった。
真っ暗な部屋は、懐中時計から放たれ始めた眩い光で、どんどんと埋め尽くされていく。
異変に気がついた少年は目を覚まし、光の根源へ導かれるように、ゆっくりと足を進めた。
懐中時計の長針が、もの凄いスピードで逆回りしている。少年が触れようと、手を伸ばしたとき、肥大していく大きな光に包まれて、彼はこの場から忽然と姿を消した。
少年が気がつくと、視界に無限に広がるのは真っ白な空間で、ただ独りで佇んでいた。音が聞こえる。カチッ、カチッ、カチッ。規則的で、聞き覚えのある音だった。
そう、これは時計の秒針を刻む音だ。
これは夢なのか、それとも懐中時計の中に迷い込んだのか、少年には分からなかった。
宛もなく、ただ歩いてみる。
永遠に変わらない景色に、諦めて足を止めようとして、気がついた。
誰かが倒れている。
そして、その姿には見覚えがあった。
──少女だった。
真っ暗な部屋は、懐中時計から放たれ始めた眩い光で、どんどんと埋め尽くされていく。
異変に気がついた少年は目を覚まし、光の根源へ導かれるように、ゆっくりと足を進めた。
懐中時計の長針が、もの凄いスピードで逆回りしている。少年が触れようと、手を伸ばしたとき、肥大していく大きな光に包まれて、彼はこの場から忽然と姿を消した。
少年が気がつくと、視界に無限に広がるのは真っ白な空間で、ただ独りで佇んでいた。音が聞こえる。カチッ、カチッ、カチッ。規則的で、聞き覚えのある音だった。
そう、これは時計の秒針を刻む音だ。
これは夢なのか、それとも懐中時計の中に迷い込んだのか、少年には分からなかった。
宛もなく、ただ歩いてみる。
永遠に変わらない景色に、諦めて足を止めようとして、気がついた。
誰かが倒れている。
そして、その姿には見覚えがあった。
──少女だった。



