「もう、時間がない……」

 傷だらけの銀色の懐中時計を片手に、少年は小さく呟いた。

 あと少しで、きみに会えそうなんだ。

 だからぼくは、こんなところで諦められない。

 神様、もう少しだけ、ぼくに時間をください。

 両手で握りしめた懐中時計から、眩い光が溢れ始める。

 ──そして、少年は光に包まれ消えた。