それから、もう一度煙が来るまで、ぼくはご主人さまと一緒にサクラを見上げていた。
 「さぁ行くぞ」と言ってご主人さまは、来た道を戻った。
「はい」ぼくはご主人さまの後を追いかける。ご主人さまは、岩場の前まで来るとぼくを肩に担いだ。
「え?」ぼくが驚いていると、ご主人さまは岩場をジャンプしながら登っていく。少しずつ遠くなっていく陸地に少しだけ恐怖を覚えた。
「おし、着いたぞ」と言われ下される。
そこは、洞窟だった。
 洞窟内は、広々していて奥に進むと小さな川が流れていた。
「どうだ、広いだろ?」とご主人さまは満足気で、ぼくは川の水を手で掬った。冷たい...そう思った。
「そこの水は美味しいぞ。飲んでみろ」と言われ、ぼくは一口飲む。その水は、住んでいた国よりも何百倍も美味しかった。