朝早く、ご主人さまに連れられて七月村を出た。
「ルシア、これから八月町に行くぞ」少し嬉しそうにご主人さまは言った。
「そう遠くはない、すぐに着くぞ」
今日は珍しくご主人さまの口数が多い…
「そんなに楽しみなんですね!」ぼくが言うとご主人さまは顔を赤くする。
「バレてたかぁ」そう言ってぼくから目を逸らした。
そんな事をしながら歩いていると、前に建物が見えてくる。道端には背の高い黄色い花がぼくらを出迎えるように並んで咲いている。
「向日葵、綺麗に咲いてるなぁ」ご主人さまがそう言った。
「ひ、まわり…」初めて聞く名前だった。
「向日葵は夏に咲く花なんだよルシア。」ぼくの様子を見たのかご主人さまはニコリと笑った。