ぼくは、準備を済ませるとご主人さまの所に行った。
「準備できました」ぼくが言うと、
「しっかり、フードを被れよ。すぐに宿を見つけたいが、難しい場所だからな」そう言ってご主人さま、歩き出した。
「今日は、飛ばないんですね」と言うと、
「あぁ、近いからな」と笑った。
それから、少しして着いた場所は、雨が降り続く町だった。
「さぁ、六月町だ。ここは、常に雨が降っている。風邪引くなよ。寒くなったら言え」そう言ったご主人さま、ぼくを抱き上げた。
「ご主人さま?」
「こうすると、暖かいだろ?」と嬉しそうに言うご主人さまに、ぼくの心は少しだけポカポカした。