発作が落ち着いた今も、翔太は傍にいてくれた。
「沙奈。
怖いよな。」
「えっ?」
「発作…。
喘息の発作は、本当に苦しいんだ。
発作の程度によって、苦しさも全然違う。
俺が見る限り、沙奈の発作は中等度の発作だと思う。
今、沙奈に酸素のマスクが繋がっているけど、その酸素の量も多いんだ。
そんな発作が起きて、死への恐怖を感じない者なんていないだろう。」
私、そんなに重いの…。
こんなに苦しかったの、初めてだった。
「発作の程度は、その日の体調でも変わる。
1番避けたいのは、重度の喘息発作だ。
だから、沙奈。
沙奈のこと支えていきたい。
沙奈も治療を一緒に取り組んでいこうな。」
「うん。
私、翔太と紫苑にたくさん助けられてる。
2人に、恩返しがしたいの。
だから、まだコロッと死ねないよ。」
「沙奈…。
ありがとう。」
翔太は、そう言って私を優しく抱き寄せてくれた。
優しく、温かい手が私の不安をかき消していくかのように翔太の温もりに包まれていた。
「沙奈、そろそろ…。
翔太!
どうかしたのか?」
紫苑が、私の部屋に入り私の顔色を見ていた。
「発作が起きたのか。
顔色がよくないな。
酸素もしてるし、今日は休んで。」
「そんな…。
今日から、授業が始まるのに…。」
「沙奈。無理して、後で辛くなるのは沙奈だよ。
今日はとりあえずゆっくり休んで。
そんな状態で、1日座ってられるとは思えない。」
紫苑は、私の頬に触れながらそう話した。
「分かった…。」
「えらいぞ。」
真剣な表情をしていた紫苑から、私が首を縦に降りやっと安心したかのように柔らかい表情で笑った。
「沙奈のことは、今日俺が見る。」
「でも。紫苑、今日は外来の日じゃないの?」
「今日は元々、外来サポートだからな。
主となって患者を見るわけでもない。
日も間の日だから、患者数も少ない。
それに、沙奈。翔太から聞いたかもしれないけど、酸素の量5Lっていうのはかなり沙奈の体から酸素を消費してしまっていることになる。
酸素の投与量が多いということは、その分十分な観察が必要となるんだ。
だから、今日は俺が責任もって沙奈のことみるから。」
「沙奈、今日は紫苑の言うことをちゃんと聞いてゆっくり休んで。
俺も、できる限り早く帰る。
紫苑、沙奈の状態を大翔先輩にも話しておくね。」
「ありがとう。翔太。
助かるよ。」
紫苑が、翔太の頭をクシャッと撫でる。
「やめろよ。照れくさい。」
そう火照ったのがわかる。
「翔太。仕事無理しないでね。」
「沙奈もありがとう。」
翔太はそう言うと、私の頭を撫で布団をかけてくれた。
それから部屋を後にして、スーツに着替えもう1度私の部屋に顔を出し仕事場へ向かった。


