井川加奈子はそのままズカズカと部屋の中に入ってきて、あたしと目が合うとにっこり微笑んだ。


「昨日はありがとう」


「あ、うん。もう大丈夫?」


「あれ? カナコってはる子ちゃんと友達なん?」


あたし達の様子に工藤聡史が不思議そうな顔をしている。


「うん。ま、ね。昨日、保健室で薬出してもらってん」


「薬? カナコ、どこか悪いの?」


ヤマジ君が心配そうに井川加奈子を見つめている。


いくら井川加奈子でもさすがに生理痛がひどくて……なんてことを男子に言えるわけもなく

「ううん。もう大丈夫やから。たいしたことないねん」

そう言ってほんのちょっと頬を染めて照れくさそうに笑った。