「魔導術士ってそんなことも出来るのね。私にその姿を見せて、同情を誘おうとでも思った? その傷だってどうせ、すぐに治せるんでしょう?」

 何も言えない。
 喉の奥が、全身が震えて声が出なかった。

「でもそれ、逆効果よ。だってあの頃を、あなたと出会ったあの時のことを思い出してしまうだけだもの」

 マルテラさんの目に再び怒りの感情が灯っていた。

「あの時、あなた言ったわよね。オレたちは戦争を終わらせに来たんだって。私たちを助けに来たんだって。確かに、貴方の言った通りになったわ。だって戦争は本当に終わったんだもの。――この街を、犠牲にしてね」

 彼女の低い声が次第に大きくなっていく。