「――ん、カノン?」 「!?」 急に声が近くクリアに聞こえてパっと目を開く。 心配そうな瞳が私を見下ろしていた。 呼吸を忘れていたような気がして、大きく息を吸ってゆっくりと吐きだしてから、その名を呼ぶ。 「セリーン……?」 「大丈夫か? 随分うなされていたぞ」 薄暗い部屋。木組みの天井。ぎぃぎぃという船体の軋む音。 ――そうだ。今私は船に乗っていて……。 (じゃあ、今のは……夢?) ピアノの音も、懐かしい声も、どちらも酷くリアルだった。 まるで本当に彼と会話していたような……。