「なぜです?」
ゲッペルの疑問は当然だ。

「我が師エストライヘルの直感に殉じる、ということだな。異界からの客人とこたびの事態には、天の配剤があろうという」

内心それでいいのかと思ったけど、まさか皇帝陛下に言えるわけもなく、蓮くんとふたりでひたすら沈黙を続ける。

「付け足せば、レンのほうは導者として着実に導力を身につけつつあるとのことだ。ミカコのほうは宮女の中でとりわけ健脚という。エレオノアには何人か身の回りの世話に宮女を付けるが、向かう先はバルバンダだ。体力が無ければ話にならん」

体力と健脚は、万国共通どころか、異界でもシンプルに重宝されるみたいだ。というか辺境の地バルバンダってそんなに過酷な環境なのか。

そして、わたしたちに選択肢はない。

カリンガの宝を探すパーティーに、末席ながらわたしたちも加わることになった。