翔んでアルミナリア

蓮くんから返ってきたのは意外な言葉だった。
「———それでひとつ疑問が解けた」

「疑問?」
なんの話だ。

「うん、俺たちがアルミナリアに迷いこんだとき、あの庭園でちょっと歩いてエレオノア姫に鉢合わせした…その直後だ。兵隊が駆けつけてきた」

「うん…」
その通りだ。

「おかしいと思わない? 誰も大きな音を出したわけじゃない。姫様も助けなんか呼んでない。なのに、なぜすぐに侵入者の存在が分かったんだ」
深く穿っていくような声だ。

むむむ…言われてみればそうだけど、状況の異様さに気を取られて、そんなこと考えもしなかった。

「導力の修行を始めて知ったんだけど、導師クラスになると、物体だけじゃなくて生き物まで操ることができるようになるんだ」

「それってつまり…」
言いつつも、白状すると話の向かう先はまったく読めていない。

「庭園に放してある小鳥の何羽かは、おそらく導師によって生きた監視カメラの役目も担ってるんだ」

低い声で告げられた言葉の意味が、胸に沈殿してゆく。

見張られている———後宮という籠にこめられた美しい鳥。