翔んでアルミナリア



「…でね、皇帝陛下はご自身はいたって質実なんだけど、寵姫のためには惜しみなく財を割こうとするんだって。なんだけど、エレオノア姫はドレスや宝石より花を好まれるし、なんか…陛下の壮大な空回りっていう感じ」

住んでいる世界が変わっても根付こうとしているわたしと蓮くんは、草木よりたくましいのではあるまいか。そんなことをちらっと思う。

「片思いだな」
蓮くんは物憂い表情を浮かべる。

「あの庭園、蓮くんは来たときに見たっきりだけど、本当に楽園みたいに美しく造られてるの。いつも綺麗に花を咲かせて、見た目とか鳴き声がきれいな小鳥が放してあって。そういう鳥はね風切羽根を切ってあって、庭から逃げないようにしてるんだって。
背の高い木でうまいこと覆ってるけど、あの庭って高い塀に囲まれてるんだ。だから外からは見えないし、もちろん中から外界を見ることもできないようになってるの」

箱庭の楽園だ。