翔んでアルミナリア

ちなみになぜわたしがバスケットを持っているかというと、花を拾うためだ。
咲いている花を摘むことを姫君は好まれないので、バスケットに入れるのはもっぱら落ちている花だ。そうやって集めた花から、姫君は傷んでいない花びらを宮女たちと選り分ける。

陽にあてて乾燥させて匂い袋(サシェ)をこしらえたり、お茶の香りづけにしたり、湯あみのときにも浮かべているという。

草木は土地が変わると根付くのが難しい———

庭園を歩きながらその言葉を反芻する。
ひとも似たようなものだろう。

ちなみにこの後宮の庭園は、皇帝が寵姫の望郷をなぐさめるために造らせた、という設定だ。

創造主(蓮くん)は、古代バビロニアの空中庭園に着想を得た…と語っていた。
「空中庭園?」

「うん、古代七不思議のひとつだよ。建造物として造られた屋上庭園なんだ。遺跡は発見されてないんだけど、何層もの階段上に庭園が配置され、様々な種類の樹木や花が植えられていたと文献で伝えられてる。古代の土木・建築技術でどうやってそれが可能だったのかは、いまだに解明されていないんだ」

「へ、へえ…」
よく分からないけど、すごいみたいだ。