翔んでアルミナリア

故国を離れて三年———姫は帰郷はおろか、最愛の弟とも手紙のやりとりしか許されていないという。
その手紙も皇帝自ら検閲しているというから、ここまでいくと寵愛というより束縛とか執着に感じられる。

後宮から一歩も外に出ることができず、唯一の例外は毎晩秘密の回廊を通って召される宮殿内の皇帝の寝所だ。そもそも後宮にはエレオノア姫の寝所自体ないというから、徹底しているというかなんというか。

…というのが、蓮くんに聞いた設定上の話と、わたしが宮女になって実際に見聞きしたことをつなぎ合わせた、エレオノア姫の身の上だ。

贅を尽くした後宮におかれながら、自由と自分の寝所がない暮らし…その心中を推し量ることははばかられた。

政務の合間を縫って、皇帝陛下は後宮に足を運ばれる。
陛下にはエレオノア姫が手ずからお茶を淹れ、食事を共にしたり、語らわれたり、庭園を散策したりされている。

多忙と重責を負う皇帝が安らぎを感じることができるのは、寵姫の傍らだけなのだ。