翔んでアルミナリア

自嘲気味に言う蓮くんに、わたしは言葉を返すことができなかった。
この世界における導力の概念は、いわゆる念動力に近い。
対象物を思念で操る…といっても、それを設定した本人は隣でパンを手に持って口に運んでいる。

「エストライヘル師くらいになると、物体を原子に近いレベルで操れるらしいけど、ほんとかな」
と彼が首をひねる。

「蓮くんも知らないんだ」

「導力レベルの具体的な設定を考えてるところだったからな」

「なるほど」わたしもパンを一口ほおばった。
そういえば、と気になっていたことを訊いてみる。
「導力ってどうやって使えるようになるの?」

「うーんと、心技体をバランスよく強化させる感じかな」

さらっと言われても分からないぞ。

「たとえば…箸袋で割り箸を折る、っていう芸当があるだろ」
蓮くんが説明する。

「そうなんだ」
知らないことばっかりだな。

「勢いとか当てる角度とかもちろん技術面もあるけど、いちばん必要なのは折れるってきちんとイメージを描いて、自分を信じることらしい。導力の習得も、それに似てると思う」

「自分を信じる…」

それがいちばん難しい、と蓮くんは固い表情で口にした。