翔んでアルミナリア

早足で去ってゆくパンバのきぬ擦れが、静かな大広間(サルーン)に響く。

ドアが静かに閉じられると、おもむろにエレオノア姫が口を開いた。
「あの折一緒にいた少年———レンという名だそうね。導師セレマイヤの弟子になったとか」

「はい…お口添えをいただきまして」

「利発そうで美しい少年だったわ」
記憶をたどるように言葉を紡ぐ。

そうなのか…子どもの頃から当たり前のようにそばにいたから、意識したことなかったな。

「恋人なの?」
美しい瞳に稚気がまたたく。

ち、違います、と答える声が上ずってしまった。ああ、なるべく感情を出さずに振る舞うように、とパンバに教えられたのに。
「幼馴染で、姉弟というか、友達というか…」
しどろもどろで口にする。

エレオノア姫は気を悪くした様子はなく、柔らかな笑みを浮かべている。
「なぜかしらね、わたしあの時一瞬、レンが自分の弟に見えてしまったの。似ているわけもないのに…」

マリス…と弟の名を呼んでいた、美しいひと。