翔んでアルミナリア

音響爆弾の威力がどれほどのものかは予測できない。
さすがに距離と岩壁をへだてた穴の中まで衝撃波は届かないと思うけど、用心にこしたことはない。

「実花子はそうだな、自分の耳に指を突っこんで、かがんでて。俺がその上からかぶさるから」

「それは…だめだよ蓮くん」
落盤を怖れてのことだろうけど、彼にそんな肉の盾のような真似はさせられない。

蓮くんがわたしの手をとる。
「たのむ、実花子。俺は導力で空気の栓を作って耳を塞げるし、自分の背後に空気のクッションを作ることもできると思うんだ」

導師の新米弟子に、そこまでの芸当ができるかは疑問だ。
しかし彼はてこでも動かないだろうと、それは痛いくらいに握られた手のひらから伝わってくる。

分かった、と頷くと、彼はひどくほっとした表情を浮かべた。

とりあえずかがみこみ、背中を丸めて団子虫のような体勢になる。

とそこへ、音節をはっきり区切った女性の声が岩壁を反響して聞こえてきた。導力で増幅させたエレオノア姫の声だ。
ザンテ語なので聞きとることはできないけど、なにを言っているのかは知っている。
マリス王子の名を呼ぶと、敵の警戒を深めてしまうので『我が弟よ』とザンテ語でまず呼びかける。