翔んでアルミナリア

血の巡りが活発になっているせいか、目の前がチカチカしてくる。
あれーーーなんだ? わたしは今なにかを…

「お前が皇帝など、片腹痛いわ!」
嘲りの声がわたしの思考を妨げる。クルシュタルとは違う声だ。

「リランめ、あの単細胞が痺れを切らしてきたな」

言われてみれば、兄弟だけあってリュシウス帝と似た声だ。

「私欲にかまけて、たった二人きりの姉弟を生木を裂くように引き離し、後宮で慰みものにしている愚かな男のなにが皇帝か! この状況はお前の行いの報いにすぎない」

舌鋒鋭く痛いところを突いてくる。気は短いが、頭はそれなりに回って弁も立つようだ。

「己の所業を他人の口から聞かされると、耳の痛いものだな」
リュシウス帝が自嘲めいたつぶやきを漏らす。

それは違います、と制するような震え声が言う。
エレオノア姫が、リュシウス帝の胸に埋めていた顔を上げている。瞳は涙に濡れているが、理性の光があった。