立てこもり犯に投降を呼びかけるような猫なで声が鼓膜を苛立たせる。
ここは完全に包囲されている、意地を張っても時間の問題。
「公正な取り引きをしましょうぞ。其方らが手にしている神の遺産をこちらへ渡すのです。さすればマリス王子の身柄を解放いたしましょう」
「神の遺産はない、と返しても納得しないだろうな」
皇帝が苦々しげな表情を浮かべている。
「万に一つも、クルシュタルの言葉を額面通りに受け取らぬことです。マリス王子を解放したところで、どのみち我ら全員を殺すつもりでありましょう」
だろうな、とリュシウス帝はあっさり頷く。
「逆賊にならぬためには口封じが必然。奴らのほうが地上に近い。我々より早く地上に出て、導力で洞窟を爆破すればいいだけだ」
生き埋め。そんな死に方は嫌だ。だいたいそんな非道が許されていいわけがない。
リランとクルシュタルへの激しい怒りにかられる。
こちらには帝国屈指の導師が二人もいるのだ。たぶん数秒でも相手の動きを封じられれば、マリス王子を救い出し、悪党どもを取り押さえることができるはずだ。
彼我の距離を埋め、数秒をどう作るかというのが問題なんだけど…
ここは完全に包囲されている、意地を張っても時間の問題。
「公正な取り引きをしましょうぞ。其方らが手にしている神の遺産をこちらへ渡すのです。さすればマリス王子の身柄を解放いたしましょう」
「神の遺産はない、と返しても納得しないだろうな」
皇帝が苦々しげな表情を浮かべている。
「万に一つも、クルシュタルの言葉を額面通りに受け取らぬことです。マリス王子を解放したところで、どのみち我ら全員を殺すつもりでありましょう」
だろうな、とリュシウス帝はあっさり頷く。
「逆賊にならぬためには口封じが必然。奴らのほうが地上に近い。我々より早く地上に出て、導力で洞窟を爆破すればいいだけだ」
生き埋め。そんな死に方は嫌だ。だいたいそんな非道が許されていいわけがない。
リランとクルシュタルへの激しい怒りにかられる。
こちらには帝国屈指の導師が二人もいるのだ。たぶん数秒でも相手の動きを封じられれば、マリス王子を救い出し、悪党どもを取り押さえることができるはずだ。
彼我の距離を埋め、数秒をどう作るかというのが問題なんだけど…



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)