翔んでアルミナリア

「向こうも鳥瞰で我々の動きを掴んでいたのでしょうか」
セレマイヤが持論を述べる。

それにはエストライヘル師が異を唱えた。
「そのような動きをしている鳥がいたら、陛下も私もそなたも見逃すはずがなかろう」

おそれながら、と口を開いたのはなんと蓮くんだった。
「虫、ではないでしょうか」

虫…虚をつかれたように、エストライヘル師がその単語を繰り返す。

「はい、バルバンダの道中、常にトンボが遊弋(ゆうよく)しているのを目にしました。トンボがよく生息している場所なのかと気に留めなかったのですが。幼虫が水生昆虫であることを考えると、不自然に思えてきました」

「クルシュタルならやりかねぬ、あいつなら」
エストライヘル師の呻きには、気づくことができなかった自分への怒りが滲んでいた。

「たかが虫けらと侮るなといういい教訓だな」
リュシウス帝の口調にも口惜(くちお)しげな響きがある。