翔んでアルミナリア

…全員が漫画の吹き出しで表現するところの「・・・」状態になってしまった。

「…なにかの種、でしょうか」
ようやくといった様子で、エレオノア姫が口を開く。

中にはもはやぼろぼろになった布が敷かれ、そこにひどく古びた胡桃大の植物の種子とおぼしきものがひとつ。
乾燥した茶褐色の肌をみせて納められている。

「蓮の実です」エストライヘル師が平板な声で説く。
「ひどく古い、おそらく一千年以上は経ておりまする。それ以外はとりたてて特徴もないかと」

遠路炎天を旅して、あったのは蓮の実ひとつ。肩透かしもいいところだ。
神の遺産とは到底思えない。どころか王家の宝といわれても、どう解釈すればいいのか。
誰もが困惑の面持ちで蓮の実を見つめている。

わたしと、そしておそらく蓮くんだけが違うことで頭を悩ませていた。

最後の道標だった蓮の花の紋章、そしてここには蓮の実。
揃っているのだ、蓮と実花子。わたしたちの名が。

なにか意味があるはずだ、なにか、なにかーーー考えろ実花子、なんのためにここまで来たんだ。