翔んでアルミナリア

途中一度、オンテ・ションが進行を止めて、岩陰で休憩をとった。
ザンテの人たちが持たせてくれた携行食を口にする。

これまでは隊の行動は皇帝が律していたが、すんなりとオンテ・ションに委ねている。
統率力を発揮しながら、引くべきところは引く。その判断力も為政者としてふさわしいと、僭越ながら思うのだ。
少なくとも、身勝手な欲望を振り回し、罪のない少年を誘拐している反抗期の皇弟よりは。

道のりは、オンテ・ションと馬まかせだ。
本当は緊張感をもって、周囲を警戒すべきかもしれない。

なのだけど、エストライヘル師の鳥瞰や、陛下の視力でも見当たらないなら、わたしにできることは皆無だった。
考える時間だけはとにかくたっぷりあるので、さまざまな思考が浮かんでは、形を成さずに消えてゆく。

基本に立ち返ろう。
そもそもこの世界は蓮くんが生み出したゲーム内だ。どうすればクリアできる?

日と月の巡り。わたしたちの名を表す言葉が出てきたのは、たぶん偶然じゃない。
勇気と叡知をもって探し当てると願いを叶えてくれる、ともいっていた。

王家の宝がはたして神の遺産だとして、所有権は誰にあるんだろうか?
王女であるエレオノア姫? それともリュシウス帝か。