翔んでアルミナリア

出立の支度が手早く整えられた。
ローサが「気をつけてね、ミカコ」と手を握ってくれたけど、あいまいにうなずき返すことしかできなかった。
なにに気をつければいいのか分からないのだ。

グァナコに跨るオンテ・ションを道案内に、昨日よりぐっと短くなった隊列が野営地を出発する。

もはや列とよべるほどのものもなかった。
オンテ・ションが先導し、そのすぐ後ろに皇帝とエレオノア姫の馬が並んで続く。
本来であれば、皇帝より半馬身か一馬身さがるのが礼にかなっているのだろうけど。ザンテ語を解するのは姫様のみなので、先導と間を空けず位置取っている。

だいたいこんな地の果てのようなところまで来ると、儀礼もへったくれもなくなってくる。

その後ろに、エストライヘル師とセレマイヤが寡黙に連なり、殿(しんがり)が蓮くんとわたしだ。
もはや無礼講で、蓮くんと馬を並べてときどきおしゃべりをしながらの道中になった。

それにしても前をゆくエレオノア姫の背中が、大きく見える気がする。