確かに娘のわたしが言うのもなんだけど、仲のいい夫婦で感情的な諍いを起こしているのを見た覚えがない。
幼い頃、両親と登山中にわたしが足をくじいてしまったことがあった。
父は自分の登山リュックを身体の前に回し、わたしを背負って急な山道を一歩一歩下りてくれた。
その後ろには、わたしと自分のリュックを前後に抱えた母が続いている。
わたしの身体を支える父の腕と汗に濡れた背中、黙々と後ろから歩く母の姿。
守られてきた、という肌で感じる記憶があるためか、わたしは両親に憤りをぶつける気になれないのだ。
…あるいは単に、わたしの生来の気質が太平楽なだけかもしれない。
それならそれで良し、と思える。
蓮くんの頭の良さ、正確な記憶力とそれに基づく理解度の深さなんかは、確かに羨ましい。
しかし頭の中に自分だけの架空世界を構築するという感覚は、どうにもわたしの想像を超えていた。
皇弟リランが、蓮くんの知能を持ち、それを負の方向に振り向けているキャラクターだとすると、確かに底知れない怖さを感じる。
だからこそ蓮くんは不安を覚えている。自分が生み出した負の側面と対峙する…考えると頭がこんぐらがってきてしまった。
幼い頃、両親と登山中にわたしが足をくじいてしまったことがあった。
父は自分の登山リュックを身体の前に回し、わたしを背負って急な山道を一歩一歩下りてくれた。
その後ろには、わたしと自分のリュックを前後に抱えた母が続いている。
わたしの身体を支える父の腕と汗に濡れた背中、黙々と後ろから歩く母の姿。
守られてきた、という肌で感じる記憶があるためか、わたしは両親に憤りをぶつける気になれないのだ。
…あるいは単に、わたしの生来の気質が太平楽なだけかもしれない。
それならそれで良し、と思える。
蓮くんの頭の良さ、正確な記憶力とそれに基づく理解度の深さなんかは、確かに羨ましい。
しかし頭の中に自分だけの架空世界を構築するという感覚は、どうにもわたしの想像を超えていた。
皇弟リランが、蓮くんの知能を持ち、それを負の方向に振り向けているキャラクターだとすると、確かに底知れない怖さを感じる。
だからこそ蓮くんは不安を覚えている。自分が生み出した負の側面と対峙する…考えると頭がこんぐらがってきてしまった。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)