翔んでアルミナリア

昼間でも星を見通す視力を持つリュシウス帝の目は、人影を捉えたようだ。

「男性だ。中背で赤銅色の肌、ひたいが秀でている。向こうもこちらに気づいているな」
相手の姿までも口にし始める。

「ザンテの民です、間違いありません」
エレオノア姫が自分の馬を皇帝に並べるように進めて、口にする。
「害意がないことを示すために、ゆっくり進むのがよろしいかと存じます」

そうだな、とリュシウス帝は寵姫の言葉にうなずきを返す。

(はや)る気持ちを抑えて、並足で馬を進める。
そのまま数百メートルは進んだかと思うころ、ようやくわたしの目にもぽつんとひとつの人影が見えてきた。

リュシウス帝が言ったとおり、大地と同じ赤銅色の肌をした男性だった。黄土色の簡素な装束を身につけている。こちらをじっと見すえて佇んでいるようだ。
何者かといぶかっているのだろうか。

元陸上部の感覚で、直線距離で五十メートルを切ったと思った時、エレオノア姫が馬を止めて地面に足を下ろした。