翔んでアルミナリア

大切な存在を危険に晒している自責の念。それは喉の渇きより耐えがたいのかもしれない。

わたしは蓮くんを恨んでなどいない。
ならば、エレオノア姫も同じはずだ。なぜかその思いは、確信に近かった。

旅を続けること七日目。
しだいに目に映る地形が変わってきていのに気づく。

大地を踏む蹄の音が、コッコッと硬質になっている。探検家やあるいは地質学者が目の色を変えそうな、美しい地層のうねりを見た。自然が生み出した芸術だ。
様々な形の岩が、そここに屹立している。奇岩地帯に入ったのだ。

一行はむろんあてもなくバルバンダをさまよっているわけではなく、ひとまずの目的地は中央部に位置する奇岩地帯だ。
その先は、ザンテ族との邂逅を(たの)むことになる。

奇岩地帯は探検家や学者が必ずといっていいほど足を運ぶ場所なので、彼らの道案内を引き受けるザンテ族が滞留している可能性が高いという話だった。

「人がいる」
リュシウス帝が口にしたのは、太陽が中天にかかろうかという時刻だった。

陽炎がたつ地平線の向こうに目をこらしても、わたしには何も見えない。