翔んでアルミナリア

リュシウス帝は全員(馬とグァナコも含めて)が一口は水を飲むまで、進行を止めた。
そして飲むのは弱い者からだ。最初に女性と子ども(蓮くん)、それから馬とグァナコ、そして導師と兵士、最後が自分だった。

わたしも岩肌にくぼませた手のひらを押しつけて、わずかにしたたる水をためて(すす)った。
生ぬるい水が甘露のように喉を潤して、皇帝陛下への自然な敬意が自分の中に芽生えるのを感じる。

考えてみれば、三十人ばかりの隊を統率できずに、帝国の皇帝の冠を戴けるはずがない。
リュシウス帝が双肩に負う重圧に、つかのま思いを馳せた。

旅の四日目には、また小さな僥倖があった。

ントゥガの木を見つけたのだ。
木といっても、乾燥地帯に生える多肉植物の一種で、見た目はアロエのお化けといった様子だ。

表皮は茶色く鎧のように硬いが、根を地中何十メートルと深く伸ばし、水を吸い上げて蓄えているという。そしてその内側の組織は食べることができるのだ。

表皮は斧をもはね返すといわれるほどだが、こちらには導師がいる。