翔んでアルミナリア

このような過酷な環境下でも隊の結束が揺らがないのは、ひとえにリュシウス帝の求心力の賜物だった。
バルバンダの旅人になってから、わたしはリュシウス帝への畏敬の念を深めていくことになった。

地図さえない旅の進路を決定するのは、常にリュシウス帝だ。
竜の血族の証であるずば抜けた知覚能力を持つ皇帝は、昼間でも星の位置を捕捉し、渡り鳥のような方向感覚で隊を率いた。

加えて、エストライヘル師がときおり導力で鳥を操り、鳥瞰で周囲を探っていた。
これは主に追っ手を警戒してのことだった。マリス王子が宝の隠し場所を知らない以上、リラン一味は必ず皇帝の隊を尾けてくるはずだ。

今のところ追っ手の影は見当たらない様子だった。
意思と知能を持つ動物を操るのは、かなり導力を消耗するので、エストライヘル師といえど長時間はできないのだと蓮くんが説明してくれた。

隊の基本方針は、徹底した弱者優先だった。

旅の二日目、皇帝が水場に皆を導いた。「水の匂いだ」と告げるなり、進路を大きく右に切ったのだ。

それは岩肌のくぼみを湿らせる程度のわずかな水だった。