魔界の華は夜に咲く

_ううう、出来れば今日はもう会いたくなかった。侍女さんからあんな話を聞いた後じゃ気まずいよ。
しかも手を振り払っちゃったし。いやいや、ここは平常心で!バレない様にしないと!!


ドキドキハラハラする心臓を抑え込む様に両手を胸に当ててジッとした。


「んで、何を知りたいんだ?」


「え!えっとぉ・・」


_急に言われても思い浮かばないよ。どうしよう。じゃあ・・


「セヴィオは兄弟とかいる?家族は?」

「あー?俺の話かよ。どーでもいいー」

「だってさっき親睦を深めようって言ってたし。私もセヴィオのこと少しは知りたいし」

「話してもつまんねえよ。今はいないし」

「別々に暮らしてるって事?」

「両親はとっくに死んでる。兄は音信不通。蒸発した」

「え・・」


_なんかとんでもないデリケートゾーンへ向かってしまった~~!!



一気に顔が青ざめる。
言葉が続くハズもなく押し黙ってしまった。
その様子にセヴィオは可笑しくて半笑いだ。
あっけらかんとしている。

「あんた、なんつー顔してんだ。別に気にしてねえし、それよりもあんたの方が大変だったんだろ」

「私は・・別に・・」



_強いな、セヴィオは・・。私はたった一人の家族だったママをずっと引きずってる。



目を閉じると母の笑顔が思い浮かんでしまう。