魔界の華は夜に咲く

「先ほどから様子がおかしゅうございますが、何か不手際でもございましたか?どうされました?」

侍女は物静かそうな顔をしている。本当に心配している親身な表情だ。
この意味不明な感情を終わらせたいセンジュは閃いた。


_もう、思い切って聞いちゃおう!そうだよ!


「ええと・・セヴィオには・・その、彼女・・あ、恋人とかっているんでしょうか?」

「いいえ、いらっしゃいません」

「え?そうなんですか!?」


_居ないの!?じゃあさっき聞いた会話は一体・・。



「特定のお付き合いはされておりませんが・・セヴィオ様はあのように優れたお方で、憧れる者は多いです・・それで」

「それで?」

「あ、いえ」

侍女は言いにくそうに口に手を当てる。
侍女は戸惑っていた。
こんな事を口に出して手打ちにならないかと不安だった様だ。
それを悟ったセンジュ。すぐに安心させた。



「あ、心配しないで!誰にも絶対に言わないから!もちろんセヴィオにもパパにも!
私も気にしませんから!絶対!誓います!!」


その言葉に侍女は辺りを見回し、センジュに耳打ちした。

ごにょごにょ・・。



「あ・・あーーー。なるほどね。そういう感じですか」

と、表面上は大人な対応をしたつもりだったが手は震えてしまった。
お湯が波打っている。
心臓がどくどくしている。


「あの・・姫様はセヴィオ様の事をどうお考えですか?あんな素敵なお方・・」

と、もう一人の侍女に逆に問いかけられて目が瞬きを忘れてしまった。


「えと・・わかんない。会ったばかりだし!なんとも言えないな!あはははっもう出ますー!」