魔界の華は夜に咲く

モヤモヤモヤモヤムカムカムカムカ
今まで経験したことのない感情がセンジュを襲った。


_そりゃね。突然現れたのは私の方で、セヴィオにだって普段の生活もあるだろうし恋人だっているかもしれないし・・。そもそも結婚相手の候補ってパパが勝手に決めたんだし!!
う、なにこれ・・もやもやムカムカするのはなんで?


重い空気で廊下を歩いていると、部屋の前からセヴィオが歩いてきた。背後には浴場担当の侍女が2人待機している。


「あんた何処行ってたんだ?侍女が用意して待ってたんだけど」

「あ・・」

「いつまでも現れねぇからって心配してた」

「ご、ごめんっ。道に迷って」


あんな話を聞いてしまった後に目を合わせる事など思春期真っ只中のセンジュに出来る訳もない。
小走りでセヴィオを横切った。


「おい、どうした?」


パシッ
腕を掴もうとしたセヴィオの手をはらってしまった。
それには近くにいた侍女も驚きで目を見開いた。


「あ・・」

「何かあったか?」

「あ、ごめ・・なんにもない!条件反射で!アハハ・・」


センジュは愛想笑いをしているが、一切目を合わせようとしていない。


「あんた・・」

「ゴメン!!ごめーーーーんっ!!」


センジュは無理やりその場を押しきった。そして走り去った。


「なんだ・・あいつ?」