魔界の華は夜に咲く

そのセヴィオは書斎の椅子に座るなり、ぼーっと天井を見上げていた。


「あークソ。仕事なんか手につくかっての」


目を閉じようものなら、頬を赤らめた妖艶なセンジュの顔が浮かびあがる。


「あ、マジ、やべぇ・・」


机に額をつけ項垂れる。
一度は振り切った欲望が再び込み上がる。


「なんなんだよコレ・・はー。めちゃくちゃにしてぇ」


コンコンコン


「失礼いたします。お手紙をお持ちしました」


入ってきた侍女はセヴィオの様子がおかしい事がすぐに分かった。
ぼーっとした目、心ここにあらずだ。


「セヴィオ様・・?」

「なんだよ。早く出ていけ。一人になりてえ」


もちろんセヴィオに焦がれる侍女も多い。
この侍女もその一人だ。
侍女はあくまで冷静に口を開いた。

「わたくしで良ければ・・お力になります」

「・・・」


それを聞きセヴィオの眼が見開いた。