魔界の華は夜に咲く

黒天馬は空高く一気に駆けた。


_無理ぃぃぃぃぃっ!!!


センジュはフォルノスにしがみつく様にしっかりと腰に手をまわした。


「おい、いい加減にしろ。手を離せ」

「は、離せるわけない!!っていうかなんなの!?どうする気!?」


あっという間にセンジュは半泣きだ。

フォルノスはセンジュを一度も見ようともしない。


「お前をここから落とす。その恐怖の反動で力が発揮出来るか試す」


「出来ない!!」


センジュはすぐに否定した。


_この人私を本気で殺す気だ!さっき剣を抜いた時も本気だったし!絶対にそうだ!



「私がいきなり現れて、目障りで不快なんでしょ!?だからこんな事するんでしょ!?」

「・・よくわかっているじゃないか」


ぼそりとフォルノスはセンジュの耳元でそう言った。


「お前などいなくとも、魔界はあの方さえいれば良いのだ。我々は今までそれで上手くいっていた」


「!!」


_やっぱりこの人私が目障りなんだ!!



「だがどうだ?お前という存在が現れた。しかも4人中から相手を選ぶだと?今まで保たれていた均衡はどうなる?」

「だ、だから・・私は誰とも一緒になりたくない!そんな風に思っているなら私を人間界に戻してよ」

「出来るものか。あの方の決定だ」

「そんなにパパが怖いの?」

「恐怖ではない。あの方はこの世界では神にも等しい存在だ。だから誰もが従う。・・だがお前の為に魔界は・・崩れていくだろう・・それが一番恐ろしい」



_パパじゃなくて私の存在が怖いって事!?そんなの・・・やっぱりこの世界は私の居場所じゃない。居場所なんかない。そうだよね。そりゃ・・そうだ。私だって別に来たかったわけじゃないし。



センジュは自ら手を離した。
ふわりと体が風に乗った。



_力がなくたっていい。私は人間だもん。ママの子だし。普通でいいし。



「お前・・」


フォルノスの目の前でそのまま頭から地上へ落ちた。


「どこにも居場所がないなら、これでいいよ」


_ママの所に行きたい。生きていたって、自分の思い通りに生きられない人生なら意味ないよ。こんなところにだって居たくない。



ママに会えるのなら。
死んだっていい。


センジュは目を閉じた。