魔界の華は夜に咲く

全快したフォルノスはセンジュを連れて魔界へ繋がる階段へと向かった。
木々の茂みに隠れ、空を舞う天使たちの様子を確認する。


「1、2、3人・・全部で5人か。ウリエルはいない様だな」

「うん・・」

センジュもそれを目視し頷く。
透明な階段がキラキラと輝いている。


「あそこまで飛ぶぞ」

「飛ぶ・・って?」

「こうする」


フォルノスはセンジュを肩に担ぐと、階段へと飛び上がった。


「ひっ!?」

センジュは思わず出そうになった声を両手で抑えた。


「見つけたぞ!娘を捕らえろ!」


空から監視していた天使達がフォルノス目掛けて急降下してきた。
それをセンジュが背後からフォルノスに伝える。


「フォルノス後ろに!」

「解っている」

飛んだ瞬間に手から氷柱を作ると、それを壁の様に広げた。
巨大な氷の壁が天使たちの前に立ちはだかる。


「うわ・・凄い」

「感心している場合か。ただの時間稼ぎだ」

階段が光ったと思うと、魔界が目の前に見えた。

「行くぞ」

「あっ!?壁が!」

フォルノスが一歩踏み出した瞬間、轟音と共に氷の壁が一気に熱で溶けだした。


「センジュ!!行くな!!」


_ウリエル!?


大天使ウリエルが飛び込み、センジュに向かって手を伸ばした。
必死にウリエルは訴えた。


「戻れば魔王に殺される!行くな!!」


ドクン
その言葉に心臓が大きく鳴った。


_本当に?私、パパに殺されるのかな?


ウリエルの言葉に恐怖を覚えたが、フォルノスはセンジュの不安をかき消すように強く抱き寄せた。


「それは俺が阻止する」

「え?フォルノスが!?パパから私を?」


_そんな事出来るの!?パパに一番忠実なフォルノスが!?


「信じるかどうかはお前次第だが」

「フォルノス・・」

「決めろ」


真っ直ぐ前を向き走りながらも、フォルノスはセンジュの答えを待った。


「うん・・信じる」


その言葉を聞くとフォルノスはもう一度氷柱をウリエルに目掛けて飛ばした。
ウリエルも炎の渦で応戦する。


「センジューー!!!」


ウリエルの悲痛な叫びは、魔界の入り口と共に消えていった。