母の声を聞いたその日の夜。
眠りについていたセンジュはうなされる事となった。
「う・・うぅ・・」
暗闇の中、1人さ迷い歩いていると、目の前に母の姿が見えた。
にこやかに微笑む母の体に白い光が纏っている。
「ママ!」
会えたことに喜び抱き着くと、母はセンジュの頭を子供をあやす様に撫でる。
「ママ逢いたかった!!」
『センジュ、よく出来ました」
「え?」
『あの四大魔将を一人で打つなんて』
「え!?」
ゴロリ・・・。
振り向いた瞬間、目の前に四人の骸が転がっていた。
青白い顔をした四大魔将が。
「え!?なに!?皆!?」
『センジュにはママからご褒美をあげなくちゃね』
「ママ・・何なのこれ・・ママ!?」
『さあ、一緒に行きましょう。・・ウフフ・・・フフフフ』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ママ!!はっ・・」
自分の声で目が覚めた。
背中が汗でびっしょりと濡れ、恐怖で足がジンジンと痺れている。
「何・・?今の・・変な・・夢・・」
動悸が収まらない。体がカタカタ震え出した。
_皆が倒れてた・・私が・・皆を・・殺してた?
「夢・・絶対夢だ・・怖い夢・・・。喉、乾いた・・あっ」
近くのテーブルに置いてあった水の瓶を取ろうとしたら滑らせてしまった。
水はドクドクと床へ零れ落ちた。
母の不気味な笑い声が鮮明に残っている。
_ううん、ママは絶対あんなこと言わない・・絶対に・・。
「一体どうしてあんな夢見たんだろ?私疲れてるのかな」
零れた水を拭こうと思い灯りをつけるとそのタイミングでノックが聞こえた。
コンコンコン。
びくっ
_え?誰・・?こんな夜中に。
「は・・はい?誰ですか」
恐る恐る返事をすると
「センジュ、良かった。起きていましたか」
とエレヴォスの声が聞こえた。
_エレヴォスさん?一体どうしたんだろう・・。
ドアを開けると心配そうな顔をしたエレヴォスが立っていた。
「センジュ、どうしたのですか?汗だくではないですか」
「あ・・はい。ちょっと嫌な夢を見ちゃって・・」
「そうだったのですか」
「あの・・どうしたんですか?」
エレヴォスは部屋に入ると、神妙な面持ちでセンジュの肩に手を添えた。
「貴女の母君の件で・・」
「え?何かわかったんですか?何か手がかりが?」
「え?ええ、あなたの住んでいた家にどうやらそれがあるらしいのです」
「あの家に」
_エレヴォスさん、今までずっとママの事を気にしていてくれてたって事?私の為に・・?
「でも、人間界は行ったら危ないって・・」
「そうですね、昼間は危険です。ですから、今なら・・」
ドキン
「今、2人でなら抜け出す事が可能です。あの方もお休みになられている今なら」
「そ、そんな・・バレたりしませんか?見つかればエレヴォスさんが危ないって言ってたじゃないですか」
「大丈夫です。すぐに行って戻ってくれば。それに・・私は貴女の力になりたいのです」
「・・ありがとうございます」
_訓練中に倒れた時にママが言ってた言葉がずっと引っかかってた。だからさっき変な夢を見ちゃったのかも。
ママがなんでパパと居られなかったのか、家に行けば何かわかるのかな。
「どうしますか?貴女次第です」
と尋ねられ、センジュはこくりと頷いた。
「ママの荷物もきっとそのままあるはずだし、行きたいです」
「わかりました。では向かいましょう」
エレヴォスも真剣な顔で頷く。
センジュは近くにあった大きめのストールを羽織ると廊下へと出た。
_うわ・・廊下真っ暗・・。夜中は小さなロウソクの明かりだけなんだ・・怖いな。お化け屋敷みたい。
怯えつつ歩いているとエレヴォスが手を差し出した。
「大丈夫です。私がいますから」
「はい・・ありがとうございます」
エレヴォスの手を取って、センジュは長い廊下を歩いた。
外へ繋がる螺旋階段だ。
前に教えてくれた場所だった。
今夜は真っ暗で星も出ていない。
「風・・吹いていますね」
「ええ、ですがこの程度なら平気です。私に掴まっていてください」
「は、はい」
エレヴォスはセンジュの腰を抱き、ゆっくりと階段を降りる。
時折強風が吹くが、エレヴォスがしっかりとセンジュを抱いていたので無事に降りる事が出来た。
「こちらですよ」
城の裏門から外へ出た。
「裏門て誰も見張りとかついていないんですね」
「ええ、この城の護りは兵が居なくても万全ですからね」
裏門から外へ出ると針葉樹の木々が立ち並ぶ森だ。
「こっちに何かあるんですか?」
「ええ、魔界と人間界を結ぶ道があるのです」
「え!?そうなんですか?」
足早に歩きながらエレヴォスは教えてくれた。
「そこから人間界へ飛ぶことが出来ます。安心してください。すぐに戻ってこれます」
「・・はい」
安心が出来るハズもない。何が起きるか予測も出来ないし、自分は何の力も持っていない。エレヴォスに頼るしか出来ないと不安に駆られた。見つかれば魔王にエレヴォスがお咎めを食らってしまう。それだけは避けたかった。
_でも、ママの言ってた事気になるし、きっとパパは人間界には行っちゃいけないって言うに決まってるし・・今しかチャンスがない。
何よりエレヴォスを信じている。
自分の為にこんな危険な役を買って出てくれたのだと思うと感謝しかない。
「もう少しで人間界への階段が見えてきます」
「階段・・」
「ええ、間違えて上りすぎると天界へ向かってしまいますから、私の言う通りに上ってくださいね」
「そうなんですね・・はい」
と、この真っ暗な夜に光る何かを発見した。
キラキラと空へ向かって何かが光っている。
「何・・あれ」
それは透明な階段だった。
_あれが人間界に繋がる道?
眠りについていたセンジュはうなされる事となった。
「う・・うぅ・・」
暗闇の中、1人さ迷い歩いていると、目の前に母の姿が見えた。
にこやかに微笑む母の体に白い光が纏っている。
「ママ!」
会えたことに喜び抱き着くと、母はセンジュの頭を子供をあやす様に撫でる。
「ママ逢いたかった!!」
『センジュ、よく出来ました」
「え?」
『あの四大魔将を一人で打つなんて』
「え!?」
ゴロリ・・・。
振り向いた瞬間、目の前に四人の骸が転がっていた。
青白い顔をした四大魔将が。
「え!?なに!?皆!?」
『センジュにはママからご褒美をあげなくちゃね』
「ママ・・何なのこれ・・ママ!?」
『さあ、一緒に行きましょう。・・ウフフ・・・フフフフ』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ママ!!はっ・・」
自分の声で目が覚めた。
背中が汗でびっしょりと濡れ、恐怖で足がジンジンと痺れている。
「何・・?今の・・変な・・夢・・」
動悸が収まらない。体がカタカタ震え出した。
_皆が倒れてた・・私が・・皆を・・殺してた?
「夢・・絶対夢だ・・怖い夢・・・。喉、乾いた・・あっ」
近くのテーブルに置いてあった水の瓶を取ろうとしたら滑らせてしまった。
水はドクドクと床へ零れ落ちた。
母の不気味な笑い声が鮮明に残っている。
_ううん、ママは絶対あんなこと言わない・・絶対に・・。
「一体どうしてあんな夢見たんだろ?私疲れてるのかな」
零れた水を拭こうと思い灯りをつけるとそのタイミングでノックが聞こえた。
コンコンコン。
びくっ
_え?誰・・?こんな夜中に。
「は・・はい?誰ですか」
恐る恐る返事をすると
「センジュ、良かった。起きていましたか」
とエレヴォスの声が聞こえた。
_エレヴォスさん?一体どうしたんだろう・・。
ドアを開けると心配そうな顔をしたエレヴォスが立っていた。
「センジュ、どうしたのですか?汗だくではないですか」
「あ・・はい。ちょっと嫌な夢を見ちゃって・・」
「そうだったのですか」
「あの・・どうしたんですか?」
エレヴォスは部屋に入ると、神妙な面持ちでセンジュの肩に手を添えた。
「貴女の母君の件で・・」
「え?何かわかったんですか?何か手がかりが?」
「え?ええ、あなたの住んでいた家にどうやらそれがあるらしいのです」
「あの家に」
_エレヴォスさん、今までずっとママの事を気にしていてくれてたって事?私の為に・・?
「でも、人間界は行ったら危ないって・・」
「そうですね、昼間は危険です。ですから、今なら・・」
ドキン
「今、2人でなら抜け出す事が可能です。あの方もお休みになられている今なら」
「そ、そんな・・バレたりしませんか?見つかればエレヴォスさんが危ないって言ってたじゃないですか」
「大丈夫です。すぐに行って戻ってくれば。それに・・私は貴女の力になりたいのです」
「・・ありがとうございます」
_訓練中に倒れた時にママが言ってた言葉がずっと引っかかってた。だからさっき変な夢を見ちゃったのかも。
ママがなんでパパと居られなかったのか、家に行けば何かわかるのかな。
「どうしますか?貴女次第です」
と尋ねられ、センジュはこくりと頷いた。
「ママの荷物もきっとそのままあるはずだし、行きたいです」
「わかりました。では向かいましょう」
エレヴォスも真剣な顔で頷く。
センジュは近くにあった大きめのストールを羽織ると廊下へと出た。
_うわ・・廊下真っ暗・・。夜中は小さなロウソクの明かりだけなんだ・・怖いな。お化け屋敷みたい。
怯えつつ歩いているとエレヴォスが手を差し出した。
「大丈夫です。私がいますから」
「はい・・ありがとうございます」
エレヴォスの手を取って、センジュは長い廊下を歩いた。
外へ繋がる螺旋階段だ。
前に教えてくれた場所だった。
今夜は真っ暗で星も出ていない。
「風・・吹いていますね」
「ええ、ですがこの程度なら平気です。私に掴まっていてください」
「は、はい」
エレヴォスはセンジュの腰を抱き、ゆっくりと階段を降りる。
時折強風が吹くが、エレヴォスがしっかりとセンジュを抱いていたので無事に降りる事が出来た。
「こちらですよ」
城の裏門から外へ出た。
「裏門て誰も見張りとかついていないんですね」
「ええ、この城の護りは兵が居なくても万全ですからね」
裏門から外へ出ると針葉樹の木々が立ち並ぶ森だ。
「こっちに何かあるんですか?」
「ええ、魔界と人間界を結ぶ道があるのです」
「え!?そうなんですか?」
足早に歩きながらエレヴォスは教えてくれた。
「そこから人間界へ飛ぶことが出来ます。安心してください。すぐに戻ってこれます」
「・・はい」
安心が出来るハズもない。何が起きるか予測も出来ないし、自分は何の力も持っていない。エレヴォスに頼るしか出来ないと不安に駆られた。見つかれば魔王にエレヴォスがお咎めを食らってしまう。それだけは避けたかった。
_でも、ママの言ってた事気になるし、きっとパパは人間界には行っちゃいけないって言うに決まってるし・・今しかチャンスがない。
何よりエレヴォスを信じている。
自分の為にこんな危険な役を買って出てくれたのだと思うと感謝しかない。
「もう少しで人間界への階段が見えてきます」
「階段・・」
「ええ、間違えて上りすぎると天界へ向かってしまいますから、私の言う通りに上ってくださいね」
「そうなんですね・・はい」
と、この真っ暗な夜に光る何かを発見した。
キラキラと空へ向かって何かが光っている。
「何・・あれ」
それは透明な階段だった。
_あれが人間界に繋がる道?


