丁度15時を差し掛かったところだった。
薬のおかげで熱が引き微熱程度になった頃、リアに今日の様子を聞いた。
「今日はパパと皆は?」
「いつも通りでございます。本日はアルヴァン様がセンジュ様の護衛についていらっしゃいます」
「え?アルヴァンさんが・・?」
「ええ、今朝から廊下で待機しております。センジュ様の体調が良くなり次第お部屋へ入りたいとの事でした」
「廊下で待機って・・ここへ呼んでください」
「かしこまりました」
リアはすぐにアルヴァンを部屋へと招き入れた。
「少しは良くなったのか?」
「はい、今の所は」
アルヴァンは自分の大きな手のひらをセンジュの額に当てた。
「んー、まだまだ高いな。寝ていろ。近くで見ているから」
「そんな、アルヴァンさんも少しは休んでください。廊下にずっといたって聞きましたよ」
「そりゃ護衛だからな」
「そうですけど」
_真面目だなー。兵士の鑑なんだろうなこの人。
感心をしているセンジュのベッドの横に椅子を用意して座った。
近くにあった瓶からグラスに水を注いで渡した。
「水飲むか?」
「あ、はい・・ありがとうございます」
アルヴァンはジッとセンジュを探るように見つめている。
「な、なんですか」
「ん?なんか表情が暗いなって思って。何かあったか?」
_ファーッ!鋭い。流石はアルヴァンさんだな。
「何もありませんよ」
とニコリと微笑むのが逆にへたくそだったらしい。
「お前、いい子ぶろうとしてるだろう」
「え・・」
「俺にまで気を使うな。いつも通りのお前でいろ。悩みがあればなんでも言え」
ズキン
その言葉に胸が痛みだした。
「アルヴァンさんはいつもそうやって優しいですね。それに強いです。私はまだ・・」
「俺が?もしかしてこの前の件か?下を向いていても何も始まらない。時間は戻らないし止まらないだろ」
「その考えが凄いって思うんです。いつも前向きで」
落ち込むセンジュの頭をぽんと撫でた。
「確かに、落ち込まなかったと言えばウソになる。リディは本当に可愛い娘だった。セレーンも・・」
その言葉にゆっくりとセンジュは顔を上げた。
目の前には真っ直ぐに自分を見つめるアルヴァンがいる。
「仇は取る。真相を暴いてすっきりしたいしな。だけど、同じくらい大事に思っている事もあるんだ」
「なんですか」
「俺は四大魔将でお前を護る事が使命だ。セレーンも最後に抵抗しただろ?あれはお前を護る為だったんだ、一人の戦士として。俺と同じ考えだったって事だ」
「セレーンさん・・」
「だから、俺はそれを引き継いでお前を護っていく。それが一番の任務だ。だからずっと不幸を引きずっている訳にはいかないんだ」
_本当に強くて頼もしいな・・私もこんな風になれたら。きっと迷ったりしないのに。
「少しずつでいいんだ。お前はきっと成長出来る」
「・・はい」
勇気を沢山くれる存在。
それがアルヴァンだとセンジュは尊敬した。
「まだ熱下がり切ってないんだから、そんな余計な事で悩むな。今は治すことだけ考えろ」
「はい・・」
「そうだ。お前昨日スラムを買い取ったって聞いたが本当か?」
「ええと・・買ったわけじゃないんですけど。困ってたからお金を分けただけです」
「大したもんだな。普通の女なら自分の好きな服とか装飾品に使うだろうに」
「全然考えもしなかったです・・ここに沢山可愛い服もあるし」
「なるほどな」
うんうんと頷きつつ、アルヴァンはセンジュの額にキスを落とした。
ちゅっ。
「ひゃっ」
「偉い!ますます気にいった!」
と白い歯を零しながら笑っている。
_もお・・動けないからってこの前よりも安易に不意打ちしてくる~~!!
「しかし、お前の事が街にバレたとなるとある意味大変そうだな」
「・・え」
何か言いたげだったがアルヴァンは言葉を選んだ。
「まあ、心配するな。背後はしっかり俺が護るからな」
「・・はい」
しかし今日のセンジュは勘が良かった。
アルヴァンの表情で分かった事があった。
_そっか。私が行動する事で増えなくていい事件とか、いざこざが生まれるかもしれないって事だ。今よりも危険が増える可能性もある。私は安易に前に出ない方がいいのかも。
「あの、アルヴァンさん」
「ん?」
「ひとつ聞いてもいいですか?」
「ああ、なんだ?言ってみろ」
_こんな事、アルヴァンさんに聞いていいのかな?わからない。でもこの人なら受け止めてくれるかもしれない。フォルノスに言われた事が昨日の夜からずっと消えない。
「私がフォルノスを選んだら・・どう思いますか」
「・・・は?」
思いもよらない発言に流石のアルヴァンも固まった。
薬のおかげで熱が引き微熱程度になった頃、リアに今日の様子を聞いた。
「今日はパパと皆は?」
「いつも通りでございます。本日はアルヴァン様がセンジュ様の護衛についていらっしゃいます」
「え?アルヴァンさんが・・?」
「ええ、今朝から廊下で待機しております。センジュ様の体調が良くなり次第お部屋へ入りたいとの事でした」
「廊下で待機って・・ここへ呼んでください」
「かしこまりました」
リアはすぐにアルヴァンを部屋へと招き入れた。
「少しは良くなったのか?」
「はい、今の所は」
アルヴァンは自分の大きな手のひらをセンジュの額に当てた。
「んー、まだまだ高いな。寝ていろ。近くで見ているから」
「そんな、アルヴァンさんも少しは休んでください。廊下にずっといたって聞きましたよ」
「そりゃ護衛だからな」
「そうですけど」
_真面目だなー。兵士の鑑なんだろうなこの人。
感心をしているセンジュのベッドの横に椅子を用意して座った。
近くにあった瓶からグラスに水を注いで渡した。
「水飲むか?」
「あ、はい・・ありがとうございます」
アルヴァンはジッとセンジュを探るように見つめている。
「な、なんですか」
「ん?なんか表情が暗いなって思って。何かあったか?」
_ファーッ!鋭い。流石はアルヴァンさんだな。
「何もありませんよ」
とニコリと微笑むのが逆にへたくそだったらしい。
「お前、いい子ぶろうとしてるだろう」
「え・・」
「俺にまで気を使うな。いつも通りのお前でいろ。悩みがあればなんでも言え」
ズキン
その言葉に胸が痛みだした。
「アルヴァンさんはいつもそうやって優しいですね。それに強いです。私はまだ・・」
「俺が?もしかしてこの前の件か?下を向いていても何も始まらない。時間は戻らないし止まらないだろ」
「その考えが凄いって思うんです。いつも前向きで」
落ち込むセンジュの頭をぽんと撫でた。
「確かに、落ち込まなかったと言えばウソになる。リディは本当に可愛い娘だった。セレーンも・・」
その言葉にゆっくりとセンジュは顔を上げた。
目の前には真っ直ぐに自分を見つめるアルヴァンがいる。
「仇は取る。真相を暴いてすっきりしたいしな。だけど、同じくらい大事に思っている事もあるんだ」
「なんですか」
「俺は四大魔将でお前を護る事が使命だ。セレーンも最後に抵抗しただろ?あれはお前を護る為だったんだ、一人の戦士として。俺と同じ考えだったって事だ」
「セレーンさん・・」
「だから、俺はそれを引き継いでお前を護っていく。それが一番の任務だ。だからずっと不幸を引きずっている訳にはいかないんだ」
_本当に強くて頼もしいな・・私もこんな風になれたら。きっと迷ったりしないのに。
「少しずつでいいんだ。お前はきっと成長出来る」
「・・はい」
勇気を沢山くれる存在。
それがアルヴァンだとセンジュは尊敬した。
「まだ熱下がり切ってないんだから、そんな余計な事で悩むな。今は治すことだけ考えろ」
「はい・・」
「そうだ。お前昨日スラムを買い取ったって聞いたが本当か?」
「ええと・・買ったわけじゃないんですけど。困ってたからお金を分けただけです」
「大したもんだな。普通の女なら自分の好きな服とか装飾品に使うだろうに」
「全然考えもしなかったです・・ここに沢山可愛い服もあるし」
「なるほどな」
うんうんと頷きつつ、アルヴァンはセンジュの額にキスを落とした。
ちゅっ。
「ひゃっ」
「偉い!ますます気にいった!」
と白い歯を零しながら笑っている。
_もお・・動けないからってこの前よりも安易に不意打ちしてくる~~!!
「しかし、お前の事が街にバレたとなるとある意味大変そうだな」
「・・え」
何か言いたげだったがアルヴァンは言葉を選んだ。
「まあ、心配するな。背後はしっかり俺が護るからな」
「・・はい」
しかし今日のセンジュは勘が良かった。
アルヴァンの表情で分かった事があった。
_そっか。私が行動する事で増えなくていい事件とか、いざこざが生まれるかもしれないって事だ。今よりも危険が増える可能性もある。私は安易に前に出ない方がいいのかも。
「あの、アルヴァンさん」
「ん?」
「ひとつ聞いてもいいですか?」
「ああ、なんだ?言ってみろ」
_こんな事、アルヴァンさんに聞いていいのかな?わからない。でもこの人なら受け止めてくれるかもしれない。フォルノスに言われた事が昨日の夜からずっと消えない。
「私がフォルノスを選んだら・・どう思いますか」
「・・・は?」
思いもよらない発言に流石のアルヴァンも固まった。


