センジュはその日、ベッドに入り塞ぎこんだ。
誰の言葉も頭に入って来なかった。
食事も喉を通さないセンジュを、魔王も心配し見に来たが体調不良と偽ってすぐに帰した。
そして眠れぬまま朝を迎え、いつも通り起き上がろうとした。
が、そのままベッドに倒れた。


「センジュ様!」

侍女のリアが抱きとめ、顔が赤いのを確認した。

「お風邪を召したのでしょうか・・体も熱うございます」

「ごめん・・リアさん」

「すぐにお水と解熱剤をお持ちしますね」

「・・うん」


_体がだるい、重い。何も考えられない。


夜が明けるまでずっとフォルノスの言葉を考えていた。
思い浮かんではそれを否定したり、受け入れたりして脳内がパンクした。


_風邪じゃなくて絶対に知恵熱だ・・。


「センジュ様、こちらを」

リアが用意した薬を飲ませてくれた。


「今日はゆっくりお休みくださいませ。朝食はスープにいたします。少しでもお召し上がり下さい」

「ありがとう・・きっとすぐに良くなるよ」

「油断は禁物ですよ。後で医師を呼びますね」

「ええ・・いいのに」


ニコニコしながらも首をしっかりと横に振るリアはそのまま出ていった。
朝食を終えた後、リアが城の医師を連れてきて診察をしてもらったセンジュだったが、どうやら知恵熱ではなく本物の風邪だったらしい。
徐々に熱が上がって、昼間はずっと寝たきりで過ごした。