ごろつき達に渡した金貨は一枚だろうが大金だ。
その金貨を失くして困るのを恐れ、換金所までセヴィオの部下とゼン達が付き添った。
その日、その街では笑い声が尽きなかったらしい。温かい食事を頬張りながら子供たちも嬉しそうにしていたそうだ。
街の住民達はセンジュに希望や勇気をもらったのだった。



それから街を後にしたセヴィオとセンジュは一足先に馬車で城へと戻っていた。
もうすぐ城へとつく頃合いだ。


「今日は色々あったね」

「ああ、あんたのおかげでな」

「でもゼン君たちに会えたのは偶然でしょ?」

「あんたが引き寄せたんだろ?」

「えー?へへ。そんな事出来るわけないよ」

「今日改めて見直した」

「え?」

「俺が初めてあんたを見た時と全然違う事がわかった。あんたのその性格・・すっげー好き」


セヴィオは視線を外に向けながら小さな声でさりげなく伝えた。
同時にセヴィオの大きな手がセンジュの手を包み込む様に上から覆い被さった。


「ど、どしたの・・急に褒められると恥ずかしいんですけどっ」

「めそめそして女っぽい時もあるくせに、割と芯がしっかりしてるところもあるし」


ぎゅっ。と更に手の力が強くなる。
振り向いた瞳は少し照れくさそうにしながらも、真剣そのものだった。


「あーヤベ・・マジで誰にも渡したくねんだけど。この前は偉そうに大人ぶって待つって言ったけど・・そんなの無理かも」

「え?・・んっ・・セ・・んんっ」


至近距離で話しかけられたかと思うと、すぐに唇がくっついた。


「好き・・あんたが・・好きだ・・」


唇に想いが籠っている。
熱を帯びたそれはセンジュの息さえも飲みこむ。
何度も。

「んっ・・セヴィオ・・だ・・」

「駄目じゃねえ・・受け入れろ」

「ちょ・・息・・が」


一度放し、真っ直ぐに見つめ合った。


「嫌だったら止める」

「わ・・わかんない・・その・・頭がついていかなくて」

「そうかな?結構・・気持ちいいと思うけど・・あんたもだろ?」

「そ・・」


_心臓がバクバクしてついていけないよ・・。


「気持ちいいって事は・・俺の事結構好きって事なんじゃねえ?」

「は・・んっ・・っ」


艶めかしい瞳でセヴィオは迫る。ねっとりと柔らかな舌がセンジュの舌を絡めとり欲しがる。
その度にセンジュの唇はひりひりと痺れ熱くなった。

目と目があう度に胸が高鳴り続けた。