「あらヨット」
「ぎゃっ!」
「ぐえっ!」
「うぐっ!」
ドギャッ!
と地面に痛い音が響いた。
センジュを掴んでいた男やその場にいたごろつき達は上から降ってきた何者かに潰された。
「お前ら・・」
セヴィオは思わず目を丸くした。
ごろつき達を踏みつけているのはゼンとコーマ、そしてクロウの3人だった。
「急用って、これかよ」
「野暮だねー」
「俺達も混ぜてよ」
センジュはゼンに抱き上げられるとそのままセヴィオの前に放り投げられた。
「ほらよ、彼女!」
「ひゃあっ」
「!」
セヴィオはセンジュを受け取ると隣にいた兵士に託した。
友人たちの助けに少しも喜んでいない。
3人に目も合わせずごろつきの方に歩いた。
「これは俺の仕事だ。お前らは帰れ」
「はー?ただの喧嘩だろ?そういうの得意なんだけど」
「何言っちゃってんの~?」
ゼンの言葉にセヴィオは首を横に振る。頑なだ。
淡々と仕事の様に言い放った。
「駄目だ。マジで帰ってくれ」
「なんでだよ」
「四大魔将として一般民に命じる。ここからすぐに離れろ」
「セヴィオ!?」
驚いたのはセンジュだった。
_急に態度変えてどうしたの!?折角久しぶりに会えた友達なのにそんな言葉・・。
コーマとクロウの目つきが変わる。
気に食わないのは当たり前だった。
「なんだよその言い方」
「俺達に対してまでそうなる訳!?ダチにも!?」
「・・そうだ」
「・・セヴィオ」
セヴィオの手に再び炎が燃え上がった。
「こいつらは万死に値する。よって今から処刑する」
その言葉にゼンの目が見開く。純粋に驚いている。
「な、何言ってんだよ、こいつら只のごろつきだろ!?俺達がボコボコにすればいいだけじゃん。他に理由があんの!?」
ゼンの訴えもセヴィオの耳には入らなかった。
「・・・」
_何かがあってはいけない。センジュを攫われたという事実さえも。あの方にバレる訳にはいかない。はー。やっぱ関わらなければ良かったんだ。俺が招いちまったんだ・・くそ。
目を合わせようとしないセヴィオにゼンは悔しそうに眉をしかめる。
「俺達にも言えない事なのかよ・・?」
「言えない。聞いたら、お前らにも・・」
_手を下さなくちゃいけなくなる・・。
目を細めセヴィオはじりじりとごろつき達の前に一歩踏み出した。
「待ってセヴィオ」
センジュの指がセヴィオの袖を引いた。
「この人達も理由があるみたいだし・・こんなの酷いよ。友達にも」
「あんた、攫われておいて何言ってんだよ。俺があんたを危険な目に合わせたらどうなるかわかってる?」
「この人達お金がないって言ってたよ。生活が苦しいって事でしょ」
「そんなのこいつらが勝手にそうしてるんだよ。好きでそうしてんの」
「だからセヴィオ見てないでしょ。その光景」
「見なくてもわかるだろ。あの身なり」
「酷い!」
ビクン
と跳ねたのはその場にいた全員だった。
センジュの声が裏路地に響き渡った。
「ちゃんと見てから決めればいいのに!決めつけは良くないよ」
「はあ?あんたその目・・・嘘だろ・・マジで言ってんの!?」
突然尻に敷かれているセヴィオにその場にいる全員はキョトンとした。
ただの女が四大魔将にたてついている様にしか見えない。
「確かに、犯罪は良くないよ。脅迫したり攫うのは。でも・・」
センジュの目に映るごろつき達の風貌は悲しいものだった。
_魔界も落差が激しいんだ・・人間と何も変わらない。光を失ったから闇で生きるしかないって思っちゃうんだ。
「私、この人達の暮らしを見たい。この目で見たい!」
「はああ!?」
大声を張り上げたのはごろつき達だった。
「何言ってやがんだクソ女!」
「偉そうに上から見下しやがって」
「違います!本当に困っているなら言って欲しい。助けが必要なら貸します!それで心を入れ替える事が出来るかどうかはあなた達次第でしょ」
「んだとー!?」
「好きで悪い事をしているのなら、セヴィオにボコボコにされても仕方ないけど。でも、そうじゃないのなら・・・私は協力するから」
「・・センジュ」
その場にいた者達全員は固まった。
センジュの発言にだ。
ゼン達は唖然としていたが、ごろつき達は動揺している様だった。
理解できるハズがない。
「な、何が協力するだ!どうせ口だけに決まってる!」
「そうだ!それにお前みたいな小娘に何が出来るんだよ!」
「そうやって見た目で決めつけないで!まだお互いの事何も知らないんだから!」
「う・・なんだこの女」
センジュの突然の迫力にごろつき達はたじろいでいる。
リーダー格の男1人を除いては。
ぽかんと口を開き、センジュを凝視しながら固まっている。
信じられないと言った目だ。
「セヴィオはこれから街を案内してくれるって言ってたよね。ならこの人達の住む場所を今から見てみたい」
「・・あんた。はぁ。参ったな。信じらんね」
セヴィオは降参した。
センジュはどうやら魔王の血をしっかりと受け継いでいるとここで確信した。
「だけど、スラムは危険もある。わかって言ってんのか?」
「うん。大丈夫だよ。セヴィオもいてくれるし、部下の皆さんもいるんでしょ?」
「まあな」
諦めた顔のセヴィオにゼンが気味悪がって聞いてきた。
「なあ、どういう事だよ。いい加減教えろよ。その子、普通じゃねえよ。スラムを見たいなんて女は魔界にはいねえよ」
「ゼン・・あー仕方ね。わかったよ。教えるからお前達も聞け。その代わりセンジュ、あんたは身バレしたら二度とこんな風に遊べなくなることを覚悟してるんだろうな」
「う、そうなの?それはちょっとショックなんだけど・・」
「まったく王女が聞いて呆れる。絶対勢いだろ」
「ご、ごめん・・でも」
「ま、俺はそーいうのも嫌いじゃないけど」
セヴィオの言葉にホッと安堵した。
セヴィオは逐一センジュに優しいのだ。
惚れた弱みというやつだ。
「ちょちょちょ、ちょっと待って、王女って何?」
聞き逃さなかったのはコーマ。クロウは目を見開いて頷いている。
ゼンの顔は歪んでいる。口はポカンとしているが。
仕方なさそうにセヴィオは伝えた。
「だから、センジュは魔王の娘。王女だ」
「え・・・えええええええ¨!!??」
度肝を抜かれた全員は更に石化した。
残念そうに言うセヴィオもいつもより口が悪くなっている。
「一般庶民には教えちゃいけねえんだよ。面倒だから」
「あー・・確かに・・まあ、そうだわな」
「何かあってもいけねえし、俺の首も飛ぶ。・・・って何かあってるから困ってるんだよ今!だから帰れつったのに」
「あー、なるほろ」
セヴィオの言葉に皆納得した様だった。頷いている。
ごろつき達も更に動揺を隠せない様子だ。
「つつ、つまり・・王女って事は・・」
「お前らこいつに手を出したら魔王直々に消されるって事だ。ようやく解ったか」
「ひ、ひいいっ」
「なんじゃそりゃ!ふざけんな!」
魔王の力は絶対だ。名前を出すだけで体が震えるらしい。
「至って真面目だっつの。かすり傷一つでもつけたら即刻首が飛ぶからな。こいつを溺愛してるんだからあの方は」
それにはゼンが爆笑していた。
「ハハハハ!そんな爆弾を抱えて歩いてたのかよお前ー」
「爆弾て。まあ、ある意味そうか」
その言葉にはセンジュも不機嫌になった。
「セヴィオまでそういう事言う!?」
「悪い悪い」
_爆弾てなに!?そんなに私の存在って怖いわけ!?
激オコである。
「で、そんな王女様がスラムの暮らしを見てみたいとご所望なわけだ。お前ら、案内しろ」
「えええ・・ヤダよ!絶対無理だよ!関わりたくねえ」
「酷い!あなた達まで!?」
ごろつき達にまで恐れられ、拒否されている。
セヴィオはごろつき達に言い聞かせた。
「ここまで関わっちまったんだ。残念だけど、言う通りにしないとこのことを魔王様に報告する。どうする?」
「はあ!?サイテーだな!お前!」
「お前らも十分サイテーだろうが。やってることは王女の誘拐!脅迫!今ここで処刑に値するんだぞ!?」
「ひいいっ!クソ!ついてねえ!なんで俺達はこんなについてねえんだ!」
「そんな事言ってる暇があったら行くぞ」
「ち、畜生!わかったよ!」
命が保証されたわけではない。
セヴィオは今すぐにでも罰を下す事も出来るのだ。
ごろつき達は首をもたげながら自分達の暮らすスラム街へとセンジュ達を案内した。
「ぎゃっ!」
「ぐえっ!」
「うぐっ!」
ドギャッ!
と地面に痛い音が響いた。
センジュを掴んでいた男やその場にいたごろつき達は上から降ってきた何者かに潰された。
「お前ら・・」
セヴィオは思わず目を丸くした。
ごろつき達を踏みつけているのはゼンとコーマ、そしてクロウの3人だった。
「急用って、これかよ」
「野暮だねー」
「俺達も混ぜてよ」
センジュはゼンに抱き上げられるとそのままセヴィオの前に放り投げられた。
「ほらよ、彼女!」
「ひゃあっ」
「!」
セヴィオはセンジュを受け取ると隣にいた兵士に託した。
友人たちの助けに少しも喜んでいない。
3人に目も合わせずごろつきの方に歩いた。
「これは俺の仕事だ。お前らは帰れ」
「はー?ただの喧嘩だろ?そういうの得意なんだけど」
「何言っちゃってんの~?」
ゼンの言葉にセヴィオは首を横に振る。頑なだ。
淡々と仕事の様に言い放った。
「駄目だ。マジで帰ってくれ」
「なんでだよ」
「四大魔将として一般民に命じる。ここからすぐに離れろ」
「セヴィオ!?」
驚いたのはセンジュだった。
_急に態度変えてどうしたの!?折角久しぶりに会えた友達なのにそんな言葉・・。
コーマとクロウの目つきが変わる。
気に食わないのは当たり前だった。
「なんだよその言い方」
「俺達に対してまでそうなる訳!?ダチにも!?」
「・・そうだ」
「・・セヴィオ」
セヴィオの手に再び炎が燃え上がった。
「こいつらは万死に値する。よって今から処刑する」
その言葉にゼンの目が見開く。純粋に驚いている。
「な、何言ってんだよ、こいつら只のごろつきだろ!?俺達がボコボコにすればいいだけじゃん。他に理由があんの!?」
ゼンの訴えもセヴィオの耳には入らなかった。
「・・・」
_何かがあってはいけない。センジュを攫われたという事実さえも。あの方にバレる訳にはいかない。はー。やっぱ関わらなければ良かったんだ。俺が招いちまったんだ・・くそ。
目を合わせようとしないセヴィオにゼンは悔しそうに眉をしかめる。
「俺達にも言えない事なのかよ・・?」
「言えない。聞いたら、お前らにも・・」
_手を下さなくちゃいけなくなる・・。
目を細めセヴィオはじりじりとごろつき達の前に一歩踏み出した。
「待ってセヴィオ」
センジュの指がセヴィオの袖を引いた。
「この人達も理由があるみたいだし・・こんなの酷いよ。友達にも」
「あんた、攫われておいて何言ってんだよ。俺があんたを危険な目に合わせたらどうなるかわかってる?」
「この人達お金がないって言ってたよ。生活が苦しいって事でしょ」
「そんなのこいつらが勝手にそうしてるんだよ。好きでそうしてんの」
「だからセヴィオ見てないでしょ。その光景」
「見なくてもわかるだろ。あの身なり」
「酷い!」
ビクン
と跳ねたのはその場にいた全員だった。
センジュの声が裏路地に響き渡った。
「ちゃんと見てから決めればいいのに!決めつけは良くないよ」
「はあ?あんたその目・・・嘘だろ・・マジで言ってんの!?」
突然尻に敷かれているセヴィオにその場にいる全員はキョトンとした。
ただの女が四大魔将にたてついている様にしか見えない。
「確かに、犯罪は良くないよ。脅迫したり攫うのは。でも・・」
センジュの目に映るごろつき達の風貌は悲しいものだった。
_魔界も落差が激しいんだ・・人間と何も変わらない。光を失ったから闇で生きるしかないって思っちゃうんだ。
「私、この人達の暮らしを見たい。この目で見たい!」
「はああ!?」
大声を張り上げたのはごろつき達だった。
「何言ってやがんだクソ女!」
「偉そうに上から見下しやがって」
「違います!本当に困っているなら言って欲しい。助けが必要なら貸します!それで心を入れ替える事が出来るかどうかはあなた達次第でしょ」
「んだとー!?」
「好きで悪い事をしているのなら、セヴィオにボコボコにされても仕方ないけど。でも、そうじゃないのなら・・・私は協力するから」
「・・センジュ」
その場にいた者達全員は固まった。
センジュの発言にだ。
ゼン達は唖然としていたが、ごろつき達は動揺している様だった。
理解できるハズがない。
「な、何が協力するだ!どうせ口だけに決まってる!」
「そうだ!それにお前みたいな小娘に何が出来るんだよ!」
「そうやって見た目で決めつけないで!まだお互いの事何も知らないんだから!」
「う・・なんだこの女」
センジュの突然の迫力にごろつき達はたじろいでいる。
リーダー格の男1人を除いては。
ぽかんと口を開き、センジュを凝視しながら固まっている。
信じられないと言った目だ。
「セヴィオはこれから街を案内してくれるって言ってたよね。ならこの人達の住む場所を今から見てみたい」
「・・あんた。はぁ。参ったな。信じらんね」
セヴィオは降参した。
センジュはどうやら魔王の血をしっかりと受け継いでいるとここで確信した。
「だけど、スラムは危険もある。わかって言ってんのか?」
「うん。大丈夫だよ。セヴィオもいてくれるし、部下の皆さんもいるんでしょ?」
「まあな」
諦めた顔のセヴィオにゼンが気味悪がって聞いてきた。
「なあ、どういう事だよ。いい加減教えろよ。その子、普通じゃねえよ。スラムを見たいなんて女は魔界にはいねえよ」
「ゼン・・あー仕方ね。わかったよ。教えるからお前達も聞け。その代わりセンジュ、あんたは身バレしたら二度とこんな風に遊べなくなることを覚悟してるんだろうな」
「う、そうなの?それはちょっとショックなんだけど・・」
「まったく王女が聞いて呆れる。絶対勢いだろ」
「ご、ごめん・・でも」
「ま、俺はそーいうのも嫌いじゃないけど」
セヴィオの言葉にホッと安堵した。
セヴィオは逐一センジュに優しいのだ。
惚れた弱みというやつだ。
「ちょちょちょ、ちょっと待って、王女って何?」
聞き逃さなかったのはコーマ。クロウは目を見開いて頷いている。
ゼンの顔は歪んでいる。口はポカンとしているが。
仕方なさそうにセヴィオは伝えた。
「だから、センジュは魔王の娘。王女だ」
「え・・・えええええええ¨!!??」
度肝を抜かれた全員は更に石化した。
残念そうに言うセヴィオもいつもより口が悪くなっている。
「一般庶民には教えちゃいけねえんだよ。面倒だから」
「あー・・確かに・・まあ、そうだわな」
「何かあってもいけねえし、俺の首も飛ぶ。・・・って何かあってるから困ってるんだよ今!だから帰れつったのに」
「あー、なるほろ」
セヴィオの言葉に皆納得した様だった。頷いている。
ごろつき達も更に動揺を隠せない様子だ。
「つつ、つまり・・王女って事は・・」
「お前らこいつに手を出したら魔王直々に消されるって事だ。ようやく解ったか」
「ひ、ひいいっ」
「なんじゃそりゃ!ふざけんな!」
魔王の力は絶対だ。名前を出すだけで体が震えるらしい。
「至って真面目だっつの。かすり傷一つでもつけたら即刻首が飛ぶからな。こいつを溺愛してるんだからあの方は」
それにはゼンが爆笑していた。
「ハハハハ!そんな爆弾を抱えて歩いてたのかよお前ー」
「爆弾て。まあ、ある意味そうか」
その言葉にはセンジュも不機嫌になった。
「セヴィオまでそういう事言う!?」
「悪い悪い」
_爆弾てなに!?そんなに私の存在って怖いわけ!?
激オコである。
「で、そんな王女様がスラムの暮らしを見てみたいとご所望なわけだ。お前ら、案内しろ」
「えええ・・ヤダよ!絶対無理だよ!関わりたくねえ」
「酷い!あなた達まで!?」
ごろつき達にまで恐れられ、拒否されている。
セヴィオはごろつき達に言い聞かせた。
「ここまで関わっちまったんだ。残念だけど、言う通りにしないとこのことを魔王様に報告する。どうする?」
「はあ!?サイテーだな!お前!」
「お前らも十分サイテーだろうが。やってることは王女の誘拐!脅迫!今ここで処刑に値するんだぞ!?」
「ひいいっ!クソ!ついてねえ!なんで俺達はこんなについてねえんだ!」
「そんな事言ってる暇があったら行くぞ」
「ち、畜生!わかったよ!」
命が保証されたわけではない。
セヴィオは今すぐにでも罰を下す事も出来るのだ。
ごろつき達は首をもたげながら自分達の暮らすスラム街へとセンジュ達を案内した。


