フォルノスを主治医に任せ、センジュはその場から逃げるように自分の部屋に戻った。
心臓の音が鳴りやまない。


_なんなの。あの表情・・なんか、苦しそうだった。思いつめているみたいだった。


自分を嫌っているハズのフォルノスが自分を抱き寄せたのだ。
信じられない行動にセンジュは流石に戸惑った。


コンコン


「センジュ~?入るよ」


ノックと共に聞き覚えのある声が聞こえた。

「パパ」

「センジュ~~~~」

入るやいなや、魔王はセンジュを抱きしめた。
相変わらず圧が凄い。そして力も強い。


「ぅぐっ・・パパどうしたの朝から」

「フォルノスの食事に毒が仕組まれていたなんて、パパどうしたらいいのかわからなくて」

「ええ!?」


_凄い弱気発言!う、顔こわっ!めっちゃ怖~~~~っ


顔を上げると今にもぶちギレ寸前のパパがそこにいた。


「この城に勤めている者達を全員消したいくらい今ムカついてるんだ」

「それはちょっと、関係ない人が可哀そうだよ」

「だけどね、この城の何処かに潜んでいるのは確かだろう?」

「う、うん・・・」


それはそうだとセンジュは頷く。


「正々堂々と私に向かえないからって、じわじわと周りから来ているからいっそ全部排除したい!センジュにもしもの事があったらパパは全世界を滅ぼしちゃうよ」

「だ、駄目!そんなの!」

「う~~・・センジュ~。癒しておくれ~」


センジュは仕方なく魔王の背中を撫でた。
どうやら本気で慰めて欲しい様に見える。


_何このヘタレっぷり。でもただ単に甘えたいだけだったりもしそう。・・う~ん。パパの本心も全然読めないわ。


「と、とりあえずさっきフォルノスの様子を見に行ったら大丈夫みたいだったし」

「おや、そうだったか」

「うん、私も気を付けるから。そんな心配そうな顔しないでよパパ」

「センジュ・・」


余程嬉しかったのか般若の様な顔はうるうるな瞳にチェンジした。

「パパにはカッコいいパパで居て欲しいな・・なんて」

「ああ、そうだな。情けない姿をみせちゃってごめんね」

「ううん。むしろなんか・・ほっとした」

「え?何が?」

「内緒」


_魔王って言っても人間とそう変わらないんだなって。ただ簡単に世界滅ぼすとか言わないで欲しいけど。


センジュはうんうんと頷いてごまかし通した。