センジュの部屋に着くと、エレヴォスは石のように固まっているセンジュをソファに座らせた。


「大丈夫ですか?」


心配そうにのぞき込んでくる。


「あ、はい・・平気です」

「不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」


エレヴォスは落ち着かせようとセンジュの背中をゆっくりと宥めるように擦った。


「フォルノスの性格は冷静、かつ冷酷な部分もありますから。正直に申しますと・・あなたのパートナーとしてはどうかと思うところもあります。これは私の考えですから押し付けるつもりはありませんが・・」

「・・どういう事ですか?」

「誤解しないで頂きたいのは、フォルノスの印象を下げているわけではないですよ。有能である事は私も認めていますし。尊敬もしています」

「エレヴォスさんがフォルノスを?」

「ええ、四大魔将として一番長く使えていますし、力も我ら3人より圧倒的に強い。我が君にも信頼されているのであなたの相手としては一番見込みがあると、我が君は思っているハズです」

「パパが・・」


エレヴォスは真剣な瞳で頷く。


「ですが、女性に対しては少々問題がある。時折ああやって道具の様に使うのです」


すぐ納得してしまった。
女性の声が耳にこびり付いている。
恋人であればあんなに激しく声をあげたりしないのではないかと思った。


「センジュを雑に扱うのなら私も黙っておりません」


_実は殺されかけました。なんて絶対に言えない。


エレヴォスはセンジュの手を握り締めた。
その手は力強かった。


「もしも、酷い目に遭ったら言ってください。私があなたを護ります」


ズキン・・・


エレヴォスの真剣な声にセンジュは決意した。


「わかりました。・・ちゃんと、フォルノスを見てみようと思います」


_私だけじゃなく、他の女性に酷い事をするんだったら、それは許せない。女として。


「良かった。大丈夫なようですね。今日は貴重な時間をありがとうございました。また一緒にお食事しましょうね」

「・・はい。色々とありがとうございました、エレヴォスさん」

「おやすみなさい」

「はい、おやすみなさい」


安心したのか、いつものふんわりとした表情でエレヴォスはお辞儀をして出ていった。
と、同時にドッと疲れが一気に込み上げてきた。


「はぁ・・」


ソファーに寝転びセンジュは天井を見つめた。


_パートナー・・かぁ・・。