食事をしながら話題は他の四大魔将になった。

「他の3人は姫に無礼な事はしていませんか?」

「え・・あ、はい」


_正直、初対面が一番変だったな。話すとちゃんとしてるんだけどなぁ。


返事をしつつも困った顔をしているセンジュに、エレヴォスはくすくすと笑った。


「不躾な質問でしたね。私も初めての晩餐の夜に酔っていたとはいえ失礼な事をしました。お許しください」

「あ・・・」


_そういえばそうだった。この人も私の首にぱくついてきたんだった・・。



「あなたは不思議な魅力を持っています。もともと器量が良いのですが、どこか妖艶な感じもしますし」

「は、はぁ・・そうなんですか?」

「きっとあなたのお母さまもそうだったのでしょうね。あのベリオルロス様を虜にされたのですから」

「ママも・・」


エレヴォスはふきんで口を拭うと、ゆっくりと頷いた。


「実は数年前まで我々にすら存在を隠されていたのです。アンジュ様の事は」

「え?どうして?」

「さあ、真のお考えはわかりませんが・・きっとアンジュ様とあなたを護る為、だったのではないかと思います」

「パパが・・」

「我々がアンジュ様の事を根掘り葉掘り聞くわけにもいきませんし、亡くなってしまって悲しんでいるのはあなただけではなく、きっとあの方もでしょうし」


_そっか、そうだよね・・パパがあんなに私に優しく接してくれるのは、ママが死んじゃったからだよね。


「ママは交通事故にあって・・死んでしまったんです」

「・・そうでしたか」


_ママ・・私の為に一生懸命働いてくれてた。きっと大変だったのに・・いつも笑顔で。


落ち込んでしまったセンジュに、エレヴォスは近くへ寄った。


「すみません・・折角の楽しい食事なのに。思い出させてしまいましたね」

「だ、大丈夫です」


エレヴォスはそっとセンジュの背中を擦った。


「私でよろしければ気兼ねなく話してくださいね。力になりますから」

「エレヴォスさん・・ありがとうございます」


エレヴォスの落ち着いた声はセンジュの心を軽くした。