魔界の華は夜に咲く

「まだお前は戸惑ってばかりだろう。ベリオルロス様に連れられて魔界へ来たばかりだし、
突然結婚相手を決めろと言われてもな」

「は、はい」

「だが、王女である以上は・・覚悟を決めて欲しい。この魔界を繁栄させるために、
王女として自覚をもって相手を決めて欲しい」

「・・・王女だから、ですか」

「そうだ。だが決してロボットの様に心の無い者になれとは言わない。お前にも幸せは掴んで欲しいからな。
4人と深く知り合い、愛を知って欲しい」

「セヴィオが言ってました。選ぶのは私だって」

「そうだ。お前が幸せになれる相手を4人の中から選ぶんだ」

「でも、フォルノスが私が誰かを選んだら均衡が崩れるって」

「あいつは冷静な割に心配性でもあるからな。今後を見据えて未然に処理をしたいのだろう。
だが、そんなの気にしなくてもいい。お前には人を愛する権利があるからな」

「・・はい」




ギュッと握られた手は大きくてゴツゴツしていた。
魔界の為に逞しくなった手だとセンジュは思った。


「ありがとうございます・・そう言ってもらえて、ホッとしました」

「それはよかった」


ニコリ、と釣り目が優しく微笑んだ。


「パパはなんでママだったんだろうって思いました・・。あんなに好きそうなのに、
ママと私を置いて行ってしまったのは何でだろうって」

「あの方はお前の父の前に魔界の王だからな。やむを得ない事情があったのだろう。しかしお前に会ってからのあの様子は・・
幸せの絶頂といったところだな」


「パパが?」

「ああ、あんな魔王様は初めて・・いや、これは俺の口から言う事ではない。今度あの方に直接聞いてみるがいい」

「・・はい。そうしますね」


センジュは素直にコクリと頷いた。