その瞳に捉えられたら、もう逃げられないと。


 いまの春哉くんはあぶないと思った。
 けれど、たぶん逃げられないし逃げる気もない。


 だって私も、もっと欲しいと思うから。

 まだまだ足りない。
 とびきり甘いものが欲しい。


 もう目の前の春哉くんでいっぱいだ。
 さっきの春哉くんの言葉通りの状態になっている。

 春哉くんのこと以外、なにも考えられない。



「好きだよ、志羽」


 春哉くんに指を絡ませるように左手を握られ、私も受け入れるように握り返す。

 それが合図の代わりとなり、春哉くんがキスを再開する。

 キスの場所は唇から首筋、鎖骨……と、移っていき、甘さは加速していく。


 私も好き、大好き。

 けれど、それを言うタイミングを逃してしまったため、タイミングを見計らって春哉くんに言おう。


 春哉くんへの想いがあふれそうになる中で、私たちはとびきり甘い時間を過ごしていた。




END