きみじゃなくてもいい





夜にやってくるセンチメンタルで、
私ときみの隙間が埋まるはずがない。

私ときみは同じ名字できょうだいだけど。

流れる血が違う限り、遺伝子すべて違う限り、個と個である限り。深淵は永遠に埋まらない。

埋まらない海溝を言い訳張って、誤魔化せないほど執着で近づいて。



「雨衣。早く、」

「待ってよ光輝っ」



触れた手を互いに繋ぐ。

目を合わせる。

わらう。





これだけで隙間をなくして、真空地帯に飛び出した。