「オレたち第4世代には2種類の人間がいる。信心(しんじん)のあるヤツとないヤツだ」
 九鬼那智夫は目の前の中上みさきに語り出した。
 みさきは「ある」と「ない」に分けるのだから必ずどちらかに入るだろうと思い、でも、そのわけ方は意味のあるもののように思えた。
 金蓮教の創始者、近江公彰の世代を第1世代、その子供の世代を第2世代とすると、今の若者世代は、第3世代・第4世代となる。
 金蓮教の中で一般的に若者世代を「第4世代」と呼んでいる。そして、また那智夫は好んで「第4世代」という言葉を使った。
 第1世代にとって金蓮教に対する信仰心は自分で勝ち取ったものだ。しかし、世代が進めば家の宗教となってしまう。信仰心に温度差があるのも無理のないことなのかもしれない。
「信心のないヤツはダメだ。」