会長。私と恋のゲームをしてください。

「この写真が全校生徒に広がっている。この写真に心当たり、あるんだろ?」



会長は理樹くんのワイシャツを掴んだまま、固まっていた。

私は目の前にいる理樹くんをすり抜けて、その携帯に写っているものを見た。


そこには。


私と会長が抱き合っている写真が写っていた。

正確には、レストランの前で私が会長に抱きしめられている瞬間の写真。

私の横顔と会長の横顔だったけど、誰なのかはっきりと判別が出来た。

誰なのか、ごまかすことが出来ない一瞬を狙ったような写真だった。


絶句する私と会長。


……理樹くんは、全校生徒にこの写真が広まっている、と言っていた。

だけど、私のところには写真が届いていない。

会長の様子からして、会長も同じく、初めてこの写真を見たんだろう。



「お前、自分の立場が分かっていないのか?」



理樹くんの聞いたことないような低い声。

いつも穏やかな理樹くんが怒っている。

私のために怒ってくれているのは分かっているけど。

でも、会長は悪くないんだよ。