会長。私と恋のゲームをしてください。

どちらかが口を開いたら、今にも喧嘩になりそうな……。

そんな雰囲気。


私の心臓は嫌な音を立てる。

脈が乱れる。

睨み合う、会長と理樹くん。


先に口を開いたのは会長だった。



「北澤。帰るぞ」



会長が私へ歩み寄る。

手を伸ばせば、会長に触れられる。

そのくらいの距離なのに。


私と会長の間に入ったのは、理樹くんだった。



「帰るって、どこへ? 今、春馬と美雪ちゃんが一緒に居たら危ないだろ」



その言葉に、会長はぴくり、と反応した。



「家に帰るんだよ」

「美雪ちゃんの家は、春馬と反対方向だろ」



ドキッとする私の心臓。

体がこわばる。


会長の目が私に問いかけていた。

『理樹に同居のことを話していないのか』と。


同居のことは誰にも話していない。

クラスメイトにはもちろん、生徒会のメンバーにも。


首を縦にも横にも振らない私に、会長は呆れた表情をする。

ひとつ、ため息をついた会長。

立ちはだかる理樹くんをかわして、私の腕を掴んだ。